大学院に行くなら第一種奨学金を狙うべき。ノーリスクでハイリターンの投資である理由。

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こんにちは。

めでたいことに大学院入試に合格しました。これにて、少なくともあと2年は学生生活を延長して、自分の研究に取り組めることになりました。

一方で懸念されることが「学費」です。

多くの学生が悩むところだと思います。自分で決めたこととはいえ、同期の多くが就職して稼ぐ中で自分だけまだ学費払って勉強してるのどうなの…と思ってしまう方も多いかもしれません。

親に4年間学費を払ってもらって、さらに2年ともなると流石に負担をかけすぎていると思ってしまいます。人によってはこういった金銭面の問題から大学院進学に反対され、就職を促されることもあると思います。

こういった学生のために「奨学金制度」が用意されており、これらを利用しない手はありません。条件によっては返還が免除になったりもするので、こういったリサーチはしっかりやっておく必要があります。

そこで今回は特に多くの学生が受けるであろう日本学生支援機構から受けられる、大学院生向けの奨学金の種類から返還免除の条件等まとめていきたいと思います。

結論から書くと、

大学院の奨学金は大学までのものに比べ多くの人に獲得チャンスがある

しかもノーリスクでハイリターン

ということで、このチャンスを逃す手はないという話です。

奨学金支援を受けられる条件

早速、日本学生支援機構(JASSO)のホームページを確認していきます。

大学院で受けられる奨学金支援についてはこちらに記載があります。

大学院で受けられる奨学金支援

こちらでは以下に該当する学生であれば来年からの奨学金を申し込めます。

【修士・博士前期課程 又は 博士医・歯・獣医・薬(6年制学部卒)学課程又は専門職大学院(法科大学院を含む)の課程】 
現に大学等に在学する人又は卒業した人で、毎年定める時期までに翌年度の初めに大学院研究科の修士・博士前期課程又は博士医・歯・獣医・薬(6年制学部卒)学課程又は専門職大学院(法科大学院を含む)の課程に入学が予定されている人。
【博士後期課程】 
現に大学院研究科の修士・博士前期課程の最高年次に在学する人又は修了した人で、毎年定める時期までに翌年度の初めに大学院研究科の博士後期課程に入学が予定されている人。

奨学金の種類

奨学金の種類は何種類かあります。

無利息の第一種奨学金

対象者 : 特に優れた学生及び生徒で経済的理由により著しく修学困難な人に貸与

貸与額:「月額5万円」か「月額8万8千円」から選択

有利息(年最大3%)の第二種奨学金

対象者 : 第一種奨学金よりゆるやかな基準によって選考された人に貸与

貸与額:月額2万円~12万円の範囲で1万刻みで選択

第一種奨学金を借りるチャンスは誰にでもある

大学生で、無利息の「第一種」の奨学金を借りるには、優秀な成績のみならず家庭の収入も加味されるので採用されるのはなかなか厳しいようです。

しかしながらここでポイントなのが、「大学院の奨学金審査では親の収入は加味されない」という点です。

本人の収入(定職、アルバイト、父母等からの給付、奨学金、その他の収入により本人が1年間に得た金額)と配偶者の定職収入の金額の合計額が、下記の金額以下の時選考の対象となります。

博士前期課程:299万円(注:389万円)
博士後期課程:340万円(注:442万円)

(注 : 研究能力が特に優れている者、特別な事情があると認められる者などについての収入基準超過額の許容範囲。)

引用元:日本学生支援機構

親からの給与(=仕送り)は加味されるものの、親自身の収入は加味されないことがわかります。一般的な大学院生で年に299万円も稼ぐ学生はほとんどいないでしょうから、社会人の院生を除くほぼ全ての大学院生はこの「第一種奨学金」に応募するチャンスがあるということになります。

第一種奨学金の魅力

無利息で借りられるということ

「第一種奨学金」は返済が無利息なだけでもかなり魅力的です。

社会に出てしまえば無利息でお金を借りることはまずもって不可能だからです。

「無利息借金」は学生だけの特権です。

ノーリスクで借りられる上に、後述するとおり、返還が免除になる場合もあるので、ノーリスクでハイリターンとも言えます。

「返還免除制度」がある

特に優れた業績による返還免除

 平成16年度より、大学院で第一種奨学金の貸与を受けた者の30%を上限として、貸与期間中に特に優れた業績を挙げた者を対象に、貸与期間終了時に奨学金の全部又は一部の返還を免除することができる「特に優れた実績による返還免除制度」を実施しております。

引用 : 日本学生支援機構

第一種奨学金を受けた学生で、優れた業績(学会発表や受賞など)をあげたものに対し奨学金の「全額免除」あるいは「半額免除」をうけることができるという制度があります。

例えば「月8万8千円」の受給を「24ヶ月」受けたとすると、その額は合計「211.2万円」となります。全額免除ならで211.2万円、半額免除なら105.6万円獲得できるということになります。

平成30年度の結果を見ると

・修士課程で第一種奨学金を受けたのが「21753人
・その中で半額免除を受けたのが「5033人
・全額免除を受けたのが「1492人

となっています。なので上の引用通り、約30%の学生は半額あるいは全額免除を受けられるということです。

さらにここで重要な点がもう一点あります。

平成30年度 大学院第一種奨学金における特に優れた業績による返還免除の認定について

平成30年度中に大学院第一種奨学金の貸与が終了した25,107名のうち、各大学から特に優れた業績を挙げた免除候補者として推薦のあった7,632名について、学識経験者からなる業績優秀者奨学金返還免除認定委員会の審査を経て、免除者7,568名を認定しました

引用 : 日本学生支援機構

「各大学からの推薦」なので、ここでの30%とは「第一種奨学金受給学生全員の30%」という意味ではなく、「各大学での第一種奨学金受給学生の30%」ということになります。つまりここでの上位30%とは、上位が東大京大等の学生で埋め尽くされるということはなく、どの大学の学生にもチャンスがあるということです。

大学院での上位30%といったらどうでしょう?

もちろん成績をちゃんととって、研究実績を積んでと相応の努力が必要になりますが、各大学での30%といえば意外と手が届きそうな気もします。こういった事実を踏まえて活動していけば、モチベーションにもつながるのではないでしょうか?

大学院から奨学金を受けるための手続き

奨学金の手続きは各大学から行います。春から貸与を受けたい場合は「奨学金採用候補者予約」ができるので、大学院への進学が決まったら早速各進学先に問い合わせるなどして手続きをすすめていきましょう。

僕の進学する大学院では奨学金の予約申し込みは10月末くらいが締め切りでしたので意外と時間はありません。早め早めに動き始めることが重要です。

しかしながら入学してからも奨学金の在学採用という制度があります。これは年に数回ある在学者向けの制度ではありますが、万が一予約採用の申し込みに忘れしまった一年生でも申請できます。

予約採用も在学採用も書類準備がそこそこ大変で、指導教員からの推薦文なども必要ですので、余裕を持って準備を進める必要があります。

まとめ : 大学院に進学が決まったら、奨学金の準備を進めるべき

ここまで書いてきたように、大学院の奨学金は大学までのルールとは少し変わります。

収入などの条件から第一種奨学金の申請すらしていなかった学生(まさに僕のことです)でも、大学院からは貸与のチャンスがあります。

さらに第一種奨学金を受けることができれば、そこからの努力次第で半額あるいは全額免除をうけることができます。しかも”ノーリスク“です。

ノーリスクでこのリターンを獲得できる可能性があるのだったら、利用しない手はありません。

例えば、奨学金を申請せず、大学院に通いながら毎日バイトしまくって、勉強と研究が疎かになっていたら、なんで大学院にきたのかわかりませんよね。

奨学金を獲得して、「2年後の返還免除を絶対獲るぞ!」というモチベーションで勉強と研究を頑張れば、自分の力は身につきますし、バイトせずに最大211万円程度獲得できることになります。

長い目で見て、どちらが望ましいかは言うまでもないと思っています。

追記: 6/10

無事、第一種奨学金の採用が決まりました。

突然口座に88000円×3=264000円が振り込まれたのでびっくりしましたが、とりあえず安心です。「親の収入は関係なく、本人の収入と成績のみ見られていますので、僕のような一般的な家庭の学生であっても十分採用の可能性はある」というこの記事の信頼性を担保できたと思います。今後は二年後の免除を目指し、学業と研究に勤しみたいと思います。

追記:2022年8月

第一種奨学金ですが,先日免除かどうかの通知が届きました.

結果としては,「全額免除」でした.

ありがたいことです.

詳しくはこちらの記事で書きましたので,是非ご覧ください.